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山からみた景色No.01「雲取山」<前編>厳冬期登山[東京]


日帰り/電車バス/都心から2時間半/ 鴨沢〜七ツ石山〜雲取山〜三条の湯〜お祭/ "平将門 迷走ルート"


by Fujita Minori
2025.02.23

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2025.01.23「雲取山」

山からみた景色第1回連載。こちらでは登山やトレイルランニングなど山に関する内容を記事にしていこうと思います。旅するランニングの兄弟記事として、応援していっていただけたら幸いです。



東京都最高峰、雲取山。
標高2017m。東京、埼玉、山梨をまたぐ山で、日本百名山にも選ばれています。高山とは呼べないまでもそれなりの高さです。

特徴として、それぞれの都県から登山道があり、岩場等技術が必要となる場面があまりないことから登山初心者でも登りやすい山です。天気の良い日は富士山が見えたり、都心から電車で日帰り可能だったりというのもポイントになります。

特出すべきはその距離です。どの登山道からでも山頂までは長めの工程で、コースタイムは5時間ほど。一泊が推奨され、日帰りで登るためには健脚が必要とされます。

私、技術はさほどありませんが健脚である自信は少々あるので、日帰りを選択し、さらに贅沢な私は、バス停の鴨沢から登頂して同じ道を戻る、通称“鴨沢ピストン”ではなく、鴨沢から登り山頂からの下山ルートには三条ダルミの方を使い、三条の湯で温泉に入って、お祭というバス停へ戻ろうという企みです。ああ、何と愚かな私よ。
YAMAPで算出されたコース定数は実に54!
登山は好きですが、何十も経験があるわけではなく、果たして私はこれを歩行可能なのかということについては登り始めるまで懸念していました。なぜなら、コース定数40以上は日帰りでは厳しいとあるのですから。
54でかつ、上半分は雪のある厳冬期。内陸でそれほど厳しいものではないにしろ、軽い雪山を登山した経験が過去に一度きりというのは大きな心配でした。しかも雲取山自体が初。玄人から見れば私の計画には少々無理があったのかもしれません。
しかし実は無理無謀が好きな私。山自体が少なからずリスクのある場所。そんなところに自発的に行こうと思う皆さんなら分かるかもしれませんが、危険というのは魅惑のスパイスです。一歩踏み外せば死ぬかもしれないという非日常。それを乗り越えた上にある生の有り難さ。もちろんこれだけというわけではないですが、そういう気持ちがいつもあります。

結果からお伝えすると、なんとか完登できました。道中は体力と足と時間との戦いでした。
もちろんキツかったし、危険もありました。しかし何より辛かったのは、目当てにしていた三条の湯が休みだったことと、そこから先バス停までの単調なロード10キロ。さらにバスが来るまでの待機2時間。
それでも、道中、山からみた美しい景色は決定的に私の心に刻まれたのです。



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7時前に奥多摩駅に到着。トイレを済ませて7時発の”奥10”バスに乗り込みます。ゴミを捨てたくてゴミ箱を探していたのですが奥多摩駅には見当たりませんでした、、。仕方なく山に連れて行きます。

バスの中には私と同じように戦闘準備を整えた男たちが数人いました。当然雲取山へ望むのだろうと思っていたら、鴨沢で降りたのは私ともう一人だけでした。他の山に登るのかしらん。

ともかく、午前7時37分スタートです。
登山口に向かう道は初めからかなり急な坂で、息が上がってしまい、先が思いやられます。

この地は平将門にゆかりがあり、“平将門 迷走ルート”と称された内容の立札が、登山道内にチェックポイントのような形で点在しています。これを読んでいくのが少しの楽しみになりました。将門とともに旅をしているような、歴史を体感するような妙な感覚です。

朝廷と対立した平将門は藤原秀郷、貞盛などに追われ、敗走。将門一行は逃げている途中にもかかわらずこの地で大変なお祭り騒ぎを繰り広げたそうな。そのなごりで帰りに乗る予定のバス停の名前は”お祭”となっています。
珍しい名前だなぁと思っていましたがそんな由来があったとは。納得です。

また、鬼滅の刃の主人公、竈門炭治郎の故郷の村のモデルにもなっていまして、埼玉県は聖地巡礼するファンにむけて初心者では遭難の危険ありと情報を発信しています。くれぐれも準備を怠らないようにしましょう。(偉そうなことを言いながら私もちょっとした遭難をしますがそれは後編でのお話)




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山道から一度道路に出て、そこから左手にある登山口に入る。ようやく入山です。

地面の土には霜が降り、柱状になっていて綺麗でした。(霜柱と言うのですね)踏むとサクサク音を鳴らして楽しいです。気温は0~1度くらい。まだ雪は見かけません。
登山道は思ったより整っている印象です。

山ではおなじみの熊注意の看板がありました。ヤマップでも熊情報が見られ注意が必要です。

電波障害の張り紙もあります。登山口から七ツ石山間はドコモ→×/ auやや→〇、七ツ石山から雲取山間はドコモやや→〇/ au→×。なおソフトバンクは全域においてほぼ不通だそうです。かわいそうなソフトバンク勢。

ちなみにまだ他の登山客は見かけません。




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針葉樹林のほの暗い登山道。上の方で光が美しく木漏れています。冬の、草木の枯れたセピア色な景観の中で、杉やシダなどの常緑植物だけは鮮明な緑色を発します。冬の主役という感で輝いています。

歩いていると暑くて、これは服を失敗したなと少し思いました。なにせこの序盤で中に着ていたシャツがぐっしょり濡れてしまい、替えも持っていなかったのですから。スキーを思い出せば簡単な話でした。

初めて雪らしきものを見つけて嬉しくなりました。久しぶりに見た。




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針葉樹帯を抜けると今度はどこまでも広がる広葉樹林を迎えます。無数の枝が太陽に向かって手を伸ばしているよう。辺り一面落ち葉に覆われてふかふかです。踏んだ感触がおもしろいですが、ともすれば道を踏みはずしてしまうかもしれないので多少の注意を払います。

それにしてもいい天気です。
日差しが強く、直接差し込むのでますます暑くなってしまいました。
しばらく行くと日陰などにちらほら雪が残っており、もう少ししたらチェーンスパイクをつけることに決めました。

風呂岩(すいほろいわ)という平将門が風呂に入ったといわれる場所でようやく一人の登山客とすれ違いました。大勢登っている山などでは挨拶が億劫なものですが、孤独な登山は寂しいものです。自ら望んで来ているのにわがままですかね。
それにつけても将門は逃亡中に風呂とは、豪胆さがうかがえます。

標高が上がるにつれてだんだん地面を占める雪の面積が増えていきます。




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七ツ石小屋でトイレがてら小休止しました。なかなか良さげな所です。

小屋を超えると山頂が近くなり、景色が変わってきます。木が減って、見開けた道をずんずん登っていきます。雪がだいぶ深くなってきました。
何人かの登山客とすれ違います。おそらく前日に山小屋に泊まった帰りでしょうか。

平将門迷走ルートその九、「七ツ石神社と七ツ石山」
伝説では、この地に将門の影武者七人衆のわら人形を作り、秀郷勢に対して置いたところ、秀郷はそれを将門と信じて弓を射った。矢は見事にわら人形に命中したが、その途端、七体の人形は七つの巨岩に化身したという。
立派な迫力のある岩になんだか真実味を感じました。
ちなみに記事のサムネイル画像は将門がここで祈願したとされる七ツ石神社です。
このあと物語は悲劇のラストをむかえます。

そして七ツ石山の頂上に到着しました。


28本爪 チェーンスパイク



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